夏の庭をふわりと彩る、ラベンダーとロシアンセージ🌿
どちらも紫色の穂を揺らし、風にそよぐ姿がよく似ていて、見かけるたびに涼しげな気持ちにさせてくれる花です。
この2つ、見た目は似ていますが、香りの性質や背景、咲き方のリズムが異なる植物です。
今回は、見分けるコツと、知ると庭の散歩がもっと楽しくなる“どんなストーリーがあるのか”をご紹介します。
ラベンダーとロシアンセージを見分けるポイント
ラベンダーもロシアンセージも、どちらも “シソ科” の植物です。
ただし、属(もっと細かい分類)が違います。
① ラベンダー(Lavender)
分類 シソ科・ラベンダー属
花の特徴 淡い紫~濃い紫、青紫〜赤紫まで幅がある 1本の茎の先端だけに、麦の穂のようにキュッと凝縮したように花が固まって咲く
葉の特徴 茎や葉っぱはしっかりとした緑色、または少し灰色がかったシルバーグレー 細かくて短い産毛(うぶげ)がびっしりと生えていて、毛羽立っている
香りの特徴 甘さと清涼感が混ざった、落ち着く香り精油としても有名で、香りが立ちやすい
開花時期 初夏〜夏(5〜7月) 暑さに弱く、真夏は花が休むことが多い
② ロシアンセージ(Russian Sage)
分類 シソ科・ペロフスキア属
花の特徴 ふわっと煙のように広がる細かい紫の花 1本の茎から細い枝がパチパチと枝分かれして、小さな薄紫の花がポツポツと疎ら(まばら)につく
葉の特徴 葉はレースのように切れ込みがあり、シルバーが掛かった緑
香りの特徴 セージ系のすっきりした香り ラベンダーほど甘さはなく、爽やかで控えめ
開花時期
真夏〜秋(7〜10月)
暑さにとても強く、長く咲き続ける
暮らしの知恵とガーデニングでの役割
ラベンダーの葉に香りのカプセルが隠れている
ラベンダーの根元や産毛の葉っぱの表面には、香りの成分(精油)が詰まった小さなカプセル(腺毛)がたくさんついています。
そのため、葉っぱを指先でこすったり、風で葉っぱ同士がこすれ合ったりして毛羽立ちが刺激されると、あの心地よい香りがふわっと漂ってきます。
【精油・ポプリやドライフラワー】
アロマの代表的な香りの他に、花や葉の香りが長持ちするので、乾燥させてポプリにしたり、ドライフラワーとして飾って香りを楽しむインテリアに使われます。
ロシアンセージは「庭の名脇役」と自然のガードマン
ロシアンセージは観賞用として人気で、香り製品として使われることはほとんどなく、観賞用として“庭の名脇役”として親しまれています。
暑さに強く、夏の庭でふわっと揺れる姿が美しく、1995年には「多年草オブ・ザ・イヤー」に選ばれたほどです。
【ハーブの香りで虫よけ】
葉っぱにミントのような爽やかな香りがあるため、近くに植えた野菜や他のお花を害虫から守るガードマン(コンパニオンプランツ)として使われます。
名前に隠された歴史ロマンとストーリー
ラベンダー:「洗う」から始まった癒しの歴史
ラベンダーという名前は、ラテン語のlavare(ラヴァーレ:洗う)が語源と言われています。古代ローマの人々は、お風呂や洗濯の際にラベンダーを浮かべて香りを愛でていました。
中世ヨーロッパでは、心を落ち着かせるハーブや「魔除け」として玄関に吊るされ、ペストが流行した時代には人々の暮らしを支えるハーブ酢の材料として大切にされてきた歴史的エピソードもあります。
近代になるとアロマテラピーの象徴的な植物となり、世界中で愛されています。
ロシアンセージ:ロシア産でもセージでもない珍名?
「ロシアンセージ」という名前を聞くと、「ロシア原産のセージ」と思いがちですが、実はどちらも違います。
学術的には、セージ(サルビア属)とは異なる「ペロフスキア属」です。 見た目や香りの雰囲気がセージに似ていることから親しみを込めて名付けられました。
名前の「ロシアン」は産地ではなく、19世紀のロシアの植物学者 ワシリー・ペロフスキーの功績をたたえて学名ペロフスキア(Perovskia)が付けられたことに由来します。
つまりロシアンセージは、「ロシアの学者にちなんで名付けられた、セージに似た美しいお花」なのです。
まとめ:違いを知ると、庭の散歩がもっと楽しくなる
ラベンダーとロシアンセージは、淡い紫の色合いがそっくりなのがあって遠目には見分けがつかないこともあります。
両方とも葉っぱが白く曇っているため、遠くから見たときの「白っぽくて優しい雰囲気」がとてもよく似ているんですよね。
ラベンダーは暑さに弱い一方で、ロシアンセージは暑さに強いお花です。
けれど植物は、ときどき私たちの予想を軽く超えてくるものです。
我が家のラベンダーは一般的な性質とは裏腹に、季節を問わず一年中咲き続けてくれました。
冬でも元気に花をつける姿を見て「植物にも個性があるんだな」と感心したのを覚えています。
のちに知ったのですが、ラベンダーは
- イングリッシュ系(暑さに弱い)
- フレンチ系・ストエカス系(暑さに比較的強い)
などの系統によって性質が異なるそうです。 ちなみに、我が家で育てていたのはフレンチ系のラベンダーでした。長い年月をともに過ごし、最後は静かに役目を終えていきました。
次に庭や公園で紫の穂を見かけたら、ぜひ香りを確かめてみてください。



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